767人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
武史の息がかかるぐらいの距離まで顔が近付いて来た。彩香はギュッと目をつぶった。
すると…
武史の唇が触れるか触れないかの所で、武史は顔を背けた。彩香は不思議に思って目を開けた。
「武ちゃん…?」
彩香は武史に尋ねた。
「今…キスなんてしたら俺とまらなくなるよ…。だから今はしない…」
真っ赤になって顔を背けたまま、武史は言った。彩香は武史横顔にそっとキスをした。
「武ちゃん大好き!大好き…」
彩香は武史に抱き付いて泣き出した。
「あ~また泣くよ…なくなっつうの!」
武史は彩香の頭を乱暴に撫でた。
「だって…」
「2年待ってくれるか?卒業式の日…お前を貰いに行くからな?」
彩香は返事の代りにコクっとうなずいた。
「それまで…」
彩香の唇に武史はそっと人差し指で触れて
「ここへのキスはおあずけだ!」
「そんなの待てないよ…」
彩香は少し不服そうに言った。
「俺は⑩年待ったんだぞ?そのぐらい待ちやがれ!」
武史は彩香のおでこにデコピンした。
「痛ったい!武ちゃんの馬鹿!」
彩香はすっかり泣きやんで恨めしそうに武史を見た。
「その顔…ガキの頃と変わらねえな(笑)そのふくれっ面!」
といいながら彩香の頬を武史はつっついた。
「武ちゃんも変わらないじゃん!いじめっこな所!」
「俺のは愛情表現なんだよ!不器用だからな。俺は!」
そう言って武史は彩香の体を引き寄せた。彩香の髪の毛からはシャンプーのいい匂いがした。
いつの間にか好きになってた…そしていつの間にか彩香は大人になっていたんだ…。こうやって抱き締めているとよくわかる。柔らかい体…膨らんだ胸…。(ああは言ったものの…俺我慢出来るんだろうか?)武史は飛んでしまいそうな理性と戦っていた。
最初のコメントを投稿しよう!