波乱の幕開け

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武史の息がかかるぐらいの距離まで顔が近付いて来た。彩香はギュッと目をつぶった。   すると…   武史の唇が触れるか触れないかの所で、武史は顔を背けた。彩香は不思議に思って目を開けた。   「武ちゃん…?」   彩香は武史に尋ねた。   「今…キスなんてしたら俺とまらなくなるよ…。だから今はしない…」   真っ赤になって顔を背けたまま、武史は言った。彩香は武史横顔にそっとキスをした。   「武ちゃん大好き!大好き…」   彩香は武史に抱き付いて泣き出した。   「あ~また泣くよ…なくなっつうの!」   武史は彩香の頭を乱暴に撫でた。   「だって…」   「2年待ってくれるか?卒業式の日…お前を貰いに行くからな?」    彩香は返事の代りにコクっとうなずいた。   「それまで…」   彩香の唇に武史はそっと人差し指で触れて   「ここへのキスはおあずけだ!」   「そんなの待てないよ…」   彩香は少し不服そうに言った。   「俺は⑩年待ったんだぞ?そのぐらい待ちやがれ!」   武史は彩香のおでこにデコピンした。     「痛ったい!武ちゃんの馬鹿!」   彩香はすっかり泣きやんで恨めしそうに武史を見た。   「その顔…ガキの頃と変わらねえな(笑)そのふくれっ面!」   といいながら彩香の頬を武史はつっついた。   「武ちゃんも変わらないじゃん!いじめっこな所!」   「俺のは愛情表現なんだよ!不器用だからな。俺は!」   そう言って武史は彩香の体を引き寄せた。彩香の髪の毛からはシャンプーのいい匂いがした。    いつの間にか好きになってた…そしていつの間にか彩香は大人になっていたんだ…。こうやって抱き締めているとよくわかる。柔らかい体…膨らんだ胸…。(ああは言ったものの…俺我慢出来るんだろうか?)武史は飛んでしまいそうな理性と戦っていた。
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