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中学③年生…藤崎彩香はとりたてて目立たない普通の中学生だった。親友の亜紀とおさななじみの武史。それに数人の友人がいて、学校生活を穏やかに過ごしていた。
小①からずっとクラスが三人一緒だったのに、武史とは③年になって別れてしまった。
ゴールデンウィークも終わって紫陽花(あじさい)の花が公園の池の周りに綺麗に咲いていた。彩香と亜紀は学校帰りに寄り道して公園を歩いていた。
「ねぇ彩香!隣のクラスの島本君知ってる?」
「知ってるよ。科学部の部長だよね?私同じ委員会だよ!」
「え?島本君も図書委員だっけ?私彼の事好きなんだぁ。彩香協力してくれない?」
「いいよ!私に出来る事あれば協力する♪」
「ありがとう~♪さすが彩香!」
そういいながら彩香に抱き付いた。
「亜紀いいなぁ。私好きな人すらいないし…」
「彩香は武ちゃんじゃないの?」
「違うよ~たんなるおさななじみだよ。」
「そっかぁ~。まぁ彩香に好きな人できたら協力するからさ♪」
2人はそのまま亜紀の家に行って、夕方までおしゃべりをした。
夏休みもあと⑩日に迫ったある日、亜紀が手に封筒を持って彩香の席にきた。
「ねぇ彩香。この手紙を今日の図書委員会の時島本君に渡してくれない?」
「へ?そんな重要な役私出来ないよ…」
「何も言わないで渡すだけでいいからさ!お願い!頼む」
「しょうがないなぁ~わかったよ」
彩香は渋々受け取った。
委員会で二学期からの活動計画と、図書当番などを決めて一時間ぐらいで委員会は終わった。彩香は島本を呼び出して
「島本君…これ読んでね」
それだけいって島本と別れて、少し部活に顔を出してから家に帰った。
次の朝彩香と亜紀は並んで登校した。学校について下駄箱で靴を履き替えていると、島本が2人に近付いてきた。
「藤崎さん!手紙ありがとう。俺前から藤崎さん気になってたんだぁ。」亜紀と彩香が面食らってるうちに島本は
「今日一緒に帰ろう!じゃあね」
とだけ言って去って行った。
「ねぇ…彩香どうゆう事?」
亜紀は真っ赤な顔をしながら彩香に尋ねた。
「私にもわけわからない…私はちゃんと手紙渡したよ?」
「嘘!じゃあこの状況は何?彩香なんて大嫌い!」
そのまま亜紀は教室に走り出した。
後々島本に彩香が聞いたら、手紙には名前が書いてなかったらしい。だから私が告白したと勘違いしたんだ…。島本には事情を説明してわかって貰ったが、亜紀は話も聞いてくれなかった。
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