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彩香と武史は小さなアパートを借りた。居間と寝室そして小さなキッチン。家族三人の生活がスタートした。
七海は何回教えても武史をパパとは呼ばなかった。それがなんとなく彩香には寂しかったけど、七海は武史が大好きらしく仕事から帰って来ると真っ先に玄関までお出迎えに行った。
武史は知り合いのバイク屋で修理工をさせて貰う事にした。毎日油まみれになりながら、でもとても充実した日々を送っていた。でも…そんな穏やかな日々はあまり長く続かなかった。
ある日店の常連の客が武史に
「よう!武坊!たまには飲みに行かないか?」
と誘った。武史はここの所毎日夕方には帰っていたし、たまにはいいかと思い
「いいっすねぇ!行きます!」
と返事をした。
居酒屋でビールを飲みながら、お互い大好きなバイクの話に花を咲かせて常連客の安田も上機嫌だった。居酒屋を出たところで安田は
「武坊!今からとびきりの店に連れてってやるよ!」
「なんの店っすか?」
「いいからついて来いって!」
安田に連れられて繁華街を歩いていると、ケバケバしいネオンが眩しい所に来た。そこらじゅうに客引きの黒服がうろついていて、自分の店に客を入れようと必死だ。
「安田さん…ここは…」
安田はある店の前で止まった。看板には
【性感ヘルス キューティーハニィー】
と書かれてあった。
「俺…帰ります…」
武史は帰ろうとしたが
「どーせかみさんには相手にしてもらってないんだろ?チビが小さいと相手されねぇんだよなぁ~」
「うっ…」
武史は思わず言葉に詰ってしまった。
「やっぱり図星か!この店の美咲ちゃんは可愛いぞ!」
半ば強引に武史は店に連れ込まれた。
安田は慣れた様子で店員の男と話をして、やがて2人の若い女が近付いて来た。
「あら!安田さんおひさしぶり♪」
「美咲ちゃ~ん!来たよ~!でも今日はコイツの相手してやってくれよ」
と武史をこづいた。
「あらー随分若そうね!美咲です!宜しくね」
そう言ってニコっと笑った。
安田はもう一人いた女の子と奥の部屋に入り、武史は近くの部屋に案内された。
部屋に入ると手慣れた様子で美咲は武史の服を脱がし
「さて…お風呂に入りましょうか!」
と武史の頬を触りながら美咲は言った。
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