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彩香は最近眠くてしょうがなかった。なんかずっと疲れがとれない感じ。
いつもと様子が違う彩香を心配して、美花が近付いてきた。
「最近彩香おかしくない?妙に元気ないよ?」
「うーん…最近凄く眠くてさぁ…。疲れも取れないし…どっか悪いんかなぁ?」
彩香の話を聞いて、美花は
「ねぇ彩香。先月生理きた?」
「あっ…そういえば生理なってない。今月もまだだ…」
彩香の顔が青ざめて来た。
「妊娠したんじゃないの?私の姉貴が妊娠した時と同じ症状だし…」
「え~…美花~どうしよ?」
彩香は今にも泣きそうな顔になった。
「まだ決まったわけじゃないし…とりあえず学校帰りに薬局寄ろう。私も付き合うからさ!」
「うん…ありがと美花。」
彩香は泣きながら美花に御礼を言った。
学校帰りに二人は薬局に寄って、妊娠検査薬を買った。店員のおじさんに好奇の目でみられたが、今はそれ所ではなかった。
マックに入ってコーヒーとポテトSを頼んで、②階の客席に席をとった。
「じゃあ…やってきてみるね」
彩香がトイレに入って⑩分が経過した。あまりにも遅いから心配してトイレに様子を見に行くと、彩香は洗面所の前でしゃがみこんでいた。
手に持っている検査薬をみると、はっきりと青い線がでていた。明らかに陽性…。
「ねぇ…美花私どうしよう…」
彩香はガタガタ体を震わせていた。
「とりあえず今から病院に行こう!」
美花に促されて駅近くの産婦人科に向かった。
待合室に入ると、一斉に待合室にいる患者の視線が集まった。学生服を来た二人組…目立たないわけがなかった。
やがて彩香の名前が呼ばれて、診察室に入った。内診をしてもらって、改めて先生の前の椅子に座った。
「妊娠してますよ。でもあなた学生なのか…。産まずに処理しますか?」
「処理って?」
「中絶の事です。でも中絶するには親の同意と、彼氏のサインが必要になります。早めに相談してまた来てください。」
産婦人科を出て彩香と美花は喫茶店にいた。
「ねぇ…相手は誰なの?」
美花はうつむく彩香に尋ねた。しばらく考えて彩香は
「バイトの店長の澤井さん…」
そう答えた。その瞬間美花の顔が引きつったのを、彩香はうつむいていたため気付かなかった。
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