黒い人達

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その日、僕は塾があって、帰途につけたのは午後の11時過ぎであった。 財布を忘れてしまっていたので帰りにコンビニに寄る友達を横目に1人自転車を走らせた。 「寒…」 季節は11月のはじめ。一応秋ということになってはいるが、寒い。 息がほんのりと白く染まる。 マフラーを持ってくればよかった。 ため息をつくと、後ろから車が来ていることに気づいた。 自転車をできるだけわきに寄せる。 車は少しスピードをあげ、僕の前を通り過ぎていった。 「車…暖房きいてるんだろうな」 羨ましい。 思わず呟きがもれてしまうほどに。 僕は再び自転車をこぎだした。
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