〈壱〉

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そうなると、魂が転生することは出来ないとカイ君は言っていた。 天使は、いずれ転生し再び地上に戻る事になるとも… そして、カイ君についても本人から少し聞いた。 カイ君は、十年前に私と同じように交通事故に遭って命を落とした… 本来、生きていたら私と同じ歳になるらしい。 5、6歳で死んだカイ君が何故成長するのか聞くと、天使でも大抵20歳前後までは成長すると説明してくれた。 何故フードを被っているのか、聞いたけれど 『秘密』 と言って、教えてくれなかった。 声が奏君にとてもそっくりで、目が覚めたときは勘違いしてしまった。 それも、 『気のせいだよ』 とはぐらかされてしまった。 その時にフードの影から見えた顔は妖しい笑みを湛えていた。 そんな事を思い出していたら、 「俺の顔に何か付いてる?」 そう言われてしまった。 「?」 どうして、そんなことを聞くのだろう? 「さっきから、穴が開くほど俺を見ている」 苦笑しながら言ったであろう事は気配で分かった。 「えっ、あっ、な、何でもないですっ!」 無意識に見つめていた事に慌ててしまった。多分顔が赤い。
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