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「あぁああぁぁあッ!!」
ガバッと勢いよく起き上がる。びっしょりと汗をかいていた。息は荒く肩を上下させる。ドクン、ドクン―と鼓動が早い。
時計をちらっと見るとまだ夜中だ。
「あれ…?」
辺りを見渡す。
「ネコちゃんが、いない」
ベットから降りると居間に足を進めた。
居間に着くとチリン、と鈴の音が鳴った。そこに居たのは月夜に照らされた黒猫。
「ネコ、ちゃん?」
ゆっくりと黒猫は振り向く。なんだか、怖い。嫌だ、振り向いたらダメ。
心臓の音が煩い。ギュッと手を握りしめる。
ニャーォ、と鳴く黒猫は至って普通だった。
(あたし、何怯えてたんだろ…)
「いつの間に抜け出しちゃったの。ダメでしょ?もう。」
怯えていた自分の馬鹿馬鹿しさから笑いながら黒猫を抱き上げようとするが黒猫はあたしをじっと見上げる。そしてもう一声ニャーォ、と鳴いたのだった。
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