それは始まりの物語

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―――神よ ―――何故俺のモノは貴方が全て奪っていくのですか………? ‡‡‡‡‡‡ 「起きた?ルシファー」 ―――ああ、兄様だ 返事を返そうとしたら、声が出なかった。 ただ空気が喉を通り抜ける音がしただけ。 「よかった………ルシファーにまで何か遭ったら、僕嫌だよ……」 ぐずぐず泣きじゃくる兄の顔。 血が付いていた。 胸を切り裂かれた様に破けた自分の服にも、まだ乾ききらない真っ赤な血。 胸に鋭い痛みが走れば、何が起きたのかが頭を掠めた。 ―――燃え盛る家。 ―――柱に足を挟まれ動けない兄。 ―――卑しい盗賊の嘲り ―――胸を貫いた剣 ―――……首だけの母 「……あ………ぁ……」 それを認め切れないルシファーは在らん限りの声で叫ぶ。 「―――うああああぁあぁあああぁああぁああああああぁあああ……!」
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