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「……よし……連絡がきたわよ」
ケータイのバイブを確かめながら小声で呟いたのはクラスを代表する悪巧みの達人、菰之村茶深である。
「茶深……何をするの?」
同じく小声で呟いたのは前髪で片目を隠したのが特徴の“コノハ”である。
「ターゲットは理科のテストを作った教師よ、試験監督を眠らしても肝心の答えが無いと意味ないでしょ?それぐらいは分かりなさいよ」
「ゴメン、い、痛い……蹴らないで」
茶深はコノハを蹴りながら嫌な予感がしていた。
「コノハ!理科のテストを作った教師って……」
茶深が呆然となりコノハに尋ねる。
「……?、理科のテストを作った先生は…………教頭先生?」
涙目になった目をこすりながらコノハが言う。
「きょ、教頭!?マズい……魅車八重子が相手なんて…」
コノハも今頃になってようやく現状を理解し呆然となる。
「あいつにバレたら退学させられる所じゃねーぞ……まぁ今さら後戻りも出来ねぇーし………コノハ、能力を使って魅車の居場所を突き止めて」
「わかった……」
そう言ってコノハは頷き両手を前に出す、その手にはハムシに似た虫が止まっていた、ハムシは見る見るうちに大きくなり壁に吸い付く。
「茶深、少し移動するから掴まって……」
そう言って茶深と一緒に移動した場所は大助の教室の上にある空き部屋である。
「ここなら職員室の中まで“見える”ね…」
コノハは呟きゴーグルを装備する、コノハが装備したゴーグルにハムシの長い一本の足が繋がる、あらゆる条件下での策敵、追尾、そして光の屈折率を変えての迷彩化が“コノハ”の“虫”の能力である。
「ここからなら向こうの校舎にある職員室も“見れる”……探索を開始、条件指定、完了。望遠、倍率指定、完了。…無限モード、解放………見つけた、職員室じゃなく理科室みたい……あ!!……テストの回答もある」
あまりの早さにビックリしていた茶深だが、慌ててテストの回答をメモしだす。
テストの回答をメモし終えたのを確認して、能力を解除しようとしたコノハの目に何かが見えた。
魅車が“こちら”を見て笑っていた。
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