夢始まる学園

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「あ、アイジスパ君帰るの?」 「………あぁ」 怜司が帰った後、また教室を見る。 いた……重症の問題児だ。 「おい!ここを通りたかったらケモノマンのストラップ持って来いよ。」 そう言って1人の男子生徒を脅してるのは留学生のアンネさん、顔は上品だがチンピラみたいな口調だ。 「いや…………俺はそういう物は持っていないから……」 そう言う男子生徒は大蔵大和(皆は兜と呼んでいる)である。1人の女子生徒に対して冷や汗を浮かべている。 「ああぁ?ふざけんじゃねぇーぞ!」 そう言って兜の胸ぐらを掴む、巨体が宙に浮く。 「お、落ち着け!今度買ってくるから!」 アンネの手から開放されて逃げ出す兜に同情する大助に声を掛けてくる生徒がいた。 「あ、あの!大助さんこれ食べて貰えません?」 そう言ってクッキーを差し出して来たのは堀内愛理衣である。大助達より年下だが飛び級して大助と同じクラスだ、何故か大助に懐いている。 「貰っていいの?ありがとう、愛理衣」 そう言って受け取ると恥ずかしそうに笑いながら去って行く。たぶんパソコン室に行くのだろう…何故なら彼女は……まぁ、いいか まだ個性的な生徒はいる。しかし、そう言ってる暇が無くなった。ため息をつく二つ目の理由である。今、廊下の向こうで複数の女子生徒が輪になって話し合っている。 「………逃げるか♪」 そう言って立ち上がった大助の視界がブレた。 「亜梨子キック!!」 掛け声と共にジャンプ蹴りを後頭部にクリーンヒットして来たのは一之黒亜梨子である。彼女はお金持ちのお嬢様だが、おしとやかの真逆だ。 「痛ッてぇぇぇ!何するんだよ亜梨子!」 「逃げようたって行かないわよ!ねぇ、みんな?」 そう言って振り向いた亜梨子の他に複数の生徒がいた。 「薬屋なんかほっとこうよー」 露骨に嫌そうな顔をしたのは立花利菜である。彼女はとても美人で皆から人気がある生徒だ。 「大助タン、今日こそは教えて貰うよ~ん」 独特な喋り方の少女は白樫初季である。彼女は明るいが悪戯好きである。 「早く吐け」 怒気を込めて脅してくるのは高鍬みのりである。大助より年上で皆から何故か“なみえ”と呼ばれている。 「皆して……どう……したの?」 大助が引きつった笑みを浮かべる。
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