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「とぼけないでよね!」
亜梨子がそう言ってニヤついた笑みを浮かべる。
「詩歌と付き合ってるの!?」
大助はポカンと口を開けた、いきなり言われて混乱する。
「ちょ、ちょっと待って!いつそんな話に…」
「大助タンが詩歌タンを連れて屋上に行ってるの見ちゃったよ~ん」
初季が悪戯っぽく笑う、大助が絶句する。
「……見ていたの?」
「もうばっちし!写真もあるよ~ん」
大助の首筋に冷や汗が浮かぶ、ふと初季の後ろの人物を見て背中に悪寒が走る。
「な…なみえ?…どどどどうしたの?」
怯える大助になみえが激怒する。
「貴様………詩歌に触れたのか?」
「触れたって………手を引っ張っただけ……」
大助が言い終わらないうちになみえが吠えながら殴りにかかる。
「貴様ぁぁぁあぁ!死ぬ覚悟は出来てるだろうなぁぁぁあぁ!」
吠えるなみえを亜梨子と初季が押さえる中、1人複雑そうに見ていた利菜はため息をついた。
「な~んだ、それだけか。つまんないな~………で、付き合ってるの?」
つまんなそうな顔をしながら大助に聞く。
「違うよ………ただ……」
大助は詩歌を屋上に連れて行った日を思い出す。
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夕日が町中をオレンジ色に染めていた、誰もいない教室は夕日の光が窓ガラスで以上屈折し眩しい光に包まれ一つのアートのようになっている。
その教室に人影が現れた、杏本詩歌である。彼女はおとなしく控え目な性格で……儚い印象を受ける。
詩歌は自分の机に座って黒板を眺めた、黒板には欠席、杏本詩歌と書かれている。
詩歌は微笑んだ……最近の詩歌は度々学校を休む、…別に苛めを受けてる訳では無い、むしろ逆でみんなから話し掛けて貰っている。
だが彼女には悩みがあった………
詩歌が笑った理由は…
「今日も私がいなくても何も変わらないね」
苦笑しながら呟く、自分はいつも皆に迷惑をかけて、皆には何もしてあげれない…
「だから私がいない方がいいのかな?」
苦笑しかできない自分がいる事に気付く。
「私はここにいてもいいのかな?」
その光景を教室の外から大助は見ていた、そして……詩歌を助けてあげたいと思った
大助は決心して教室に入った。
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