始まったいじめ

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 掃除の時間になった。眞紀の班は廊下の掃除だ。ふと教室を見ると眞紀の机だけが1番後ろに下げられたまま皆はホウキで掃いている。みていても他の机のよい何やってんの?下げる様子は見当たらない。教室のホコリを眞紀の机に叩きつけるように楽しんでいるように見えた。ショックで手が震えた。 「丸光さん、どうしたの?」 クラスでまぁ仲の良い山梨由井が声を掛けて来た。彼女はいじめに対して参加するわけでも、庇うわけでもない。傍観者だ。 「なんでもないよ」 作り笑いをするようにその場から離れた。  帰りの会の時に眞紀は言おうと思った。掃除の時の事を…。日直の何かありますか?の声で眞紀は手を挙げる。 「丸光さん。」 皆の目が降り注ぐ。 「掃除の時に、私だけ机が運ばれてないんだけどどうして?」 しん、と静まった教室に一人の女子が立ち上がった。 「だって、教室掃除の当番でホウキの係りは一人二つ、雑巾の係りは一人三つだから」 何とも不自然な答えに眞紀は納得してしまった。しかし良く考えればそんな事はない。  クラスは全部で32人。そのうちホウキの係りが六人。雑巾の係りも六人いる。計算すれば導かれる答えは1にはならない。わざと眞紀の机だけ運ばなかったのだ。悔しくて帰り道涙がこぼれた。
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