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そこには中性的な多分男の子がいた。
小柄で幼い顔立ちから年下だと思う。
ぼくと対して変わらないぐらいの女顔だが、雰囲気や表情が男の子だなぁと感じる。
そして、その子も日本人ではない色をしていた。
綺麗に切りそろえられた短髪は赤く、長い睫に縁取られた瞳は深い真紅だ。
その色はまるで…ー
・・・・・・
血に染まったような…
(……って、何考えてんだろ!)
自己嫌悪に陥っていると、少年特有の高めの声が聞こえた。
「ねぇ、聞いてる?…君は誰なの?」
「え?ぁ…ご、めんなさ…ッ………えと…」
「……えとって名前?変なの」
「違います!…ぁ、ぼく」
「ふん…まぁ、いいよ。名前なんてたいしたものじゃないからね。」
「………そう、ですね」
少年の言葉に少しショックをうけてしまった。
「でも…ないと不便だ。ってことで、君に名前を付けてあげる」
「名前…?」
「そうだよ。うー……よし、君のことはシンって呼ぶ!いいな?」
「う、うん」
今まで生きてきて、こんな人に会ったのは初めてだ。
ぼくと見た目のタイプは変わらないのに、すごく強引で、偉そうで、ぼくなんかより男らしくて、ハッキリと言える子。
(すごい、な…)
さっきの出来事なんか吹っ飛ぶほど、この少年は印象的だった。
それに…
(名前…くれた!)
本名じゃないけど、名前を呼んでもらえる。
すごく嬉しい気持ちになった。
思わず、ジーッと見つめてしまっていた。
「ねぇ…僕の名前、教えてあげようか?」
少年は見た目にそぐわない大人びた笑みを浮かべた。
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