プロローグ

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 太陽が今日もオレンジ色に光り輝いている。蝉達も太陽の力強さに負けまいと必死にミンミンと鳴き叫んでいた…。もう夏なんだな。俺は汗を拭い空を見上げ呟いた。  しかしここ数年、温暖化が急激に進行し温度は上昇しとどまることをしらない。俺はこの異常気象に不吉なことを感じずにはいられなかった。何故なのかは分からないが、これから先、よくないことが起きるかもしれない…。この異常気象はその前触れなのかもしれないと…。  俺の勘はよく当たる… 今まで幾度もこの勘のよさで危険を察知し、そして修羅場を切り抜けてきた。  …だが今回は今までとは比べものにならない程の不安、回避出来ないかもしれないという不安で胸が苦しくなり、夜も眠れない日が続いた…。  この不安が近い未来、そう遠くない未来に、牙を剥き出しにして襲ってくる様な予感がして…。    そしてその予感は非情にも現実となり俺に牙を剥いた。  目の前で起きる惨劇…妖しく紅に輝く瞳、そしてまるで雪の様に降り注ぐ紅の血の雨…。  …その美しい紅の雨はこれから先、闇へと落ちて行く俺への誘いとも知らずに…。
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