20人が本棚に入れています
本棚に追加
…ここは何処なのだろう? 俺は何故こんな場所にいるんだ…。
何も覚えていない…。
思い出そうとすると頭が割れる様に痛い…
…周りを見渡すと見たこともない様な家具や絵画、高価であろう暖炉を筆頭にして、俺の給料では到底買えない様なアンティークの品々が置かれていた。
…俺は何故こんな所に…。もう一度思い出そうと努力はしてみるものの全く思い出せない。
とりあえず、部屋を出ないことには…探索してみよう…ここに居てもしょうがない。
…あれ?ドアの前まで進み異変に気付いた。…ドアが開かない!鍵が掛かっているのか。くそ!俺はドアを強く蹴り不安に押し潰されない様に何度も、何度もドアに体当たりを試みる。…だが開かない…。まさか…監禁されているのか!
他にも出口はあるはずだ!必死に出口になりさうな所を探してみるも、窓一つない部屋、それに壁を叩いてみても響く音は鈍く重い…。何メートルもある壁なのか、はたまた地下室なのかもしれない。俺の心は絶望と不安に飲み込まれていった…。
…此処に来てからどのくらいの時が流れたのだろうか…。途方に暮れていたその時、突然鍵のかかっていた開かないはずのドアが、ギィー…と不気味な音をたて静かに開きはじめた…。
ドアが開ききると同時に、闇の中から妖しく光る紅の二対の輝き。それはまるで獣を感じさせる瞳。その瞳は冷たく俺は一瞬にして捕らわれてしまった…。そしてその紅の瞳と視線が交わり、俺の思考が停止する…。何時間にも思える程の時の流れ…。そして俺は恐怖と共に思い出していた。あれほど思い出そうとしても思い出せなかった、あの悲惨な惨劇の記憶を…
最初のコメントを投稿しよう!