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急に恐い顔で殺人宣言をされて、俺は衝撃のあまりに固まっていた。
『ベアーッ!!
救世主に向かってそんな事を言うなんて、何を考えているんだッ!
この村や、命を落とした他の仲間たちの敵討ちを出来る人なんだぞッ!?』
このフウさんの言葉に、ベアーさんは眉をピクリと上げて……いや、そのまま眉間にシワを寄せてフウさんの胸ぐらを掴んだ。
『…この村の事や、みんなの事を軽々しく口にするなッ!!
敵は俺が取るんだッ!
どこの誰かも分からない異世界の…しかもガキになど任せられるかッ!!』
フウさんの胸ぐらを掴んだまま言い放ち、言い終わった後にフウさんを突き飛ばした。
……何だよこの人の恐さ……俺、もう特訓とか逃げたい。
『…お前だって本当は分かってるだろッ!
僕らじゃアイツらは倒せないんだ!
返り討ちにあって背中につけたその傷を忘れたのかッ!?』
何だかフウさんも荒い口調になった。
『…忘れる訳ねぇッ!
だから、俺は自分を鍛えるんだ!!
奴らを倒すために死ぬ気で特訓するんだッ!!』
『お前は何も分かっていないッ!
アイツらを倒すには彼の力が不可欠なんだッ!
お前は、このマジカライズの為に協力する事ぐらい出来ないのかッ!?』
……こうなりゃただの喧嘩だ。
俺は今は黙っていた方が良い気がして、ただ黙って怯えていた。
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