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20分が経ったが、まだ2人は激しい口論……いや、魔法の撃ち合いをしている。
俺はだいぶ離れて、恐怖のあまり怯えていた。
『…見ろよフウ、あのガキの怯え様!
本当にあんなのに世界が救えると思ってるのかお前はッ!!』
『…今はまだ救世主の卵なんだ!
彼は今からもっともっと強くなるんだよ!!』
とうとう俺が口論のタネになってしまった。
そんな時、俺には遠くから喧嘩をしてる2人を狙う敵がいるのに気が付いた。
何をしようとしているのかは分からないが、あの光る指先から何かが放たれるのは確かだ。
俺は2人の喧嘩によって砕けた岩の破片を拾って握った。
「…へへっ、しっくりくる良い大きさじゃねぇか。
野球を思い出すじゃねぇかよッ。
…よしッ、2人とも危ないッ!!」
俺は全力で思いっきり振りかぶってその岩を投げた。
『…あん?』
『……えッ?』
と、俺の方を見た2人の顔の間を抜けて、その豪速球は真っ直ぐ奴に向かった。
2人が驚いて豪速球の先を見る頃には、俺の豪速球を頭にめり込ませた奴が倒れていた。
「…あんたらさぁ、周り見えてな過ぎ。
いい大人が喧嘩に夢中になってんじゃねぇよ。」
2人の目を丸くさせて、良い気になった俺は偉そうに言ってやった。
それに対する2人の反応を待つ間もなく、豪速球で倒したのと同じ種類の奴らがウジャウジャと現れだした。
「…あんたらはそこで黙って見てろ。
要は力で証明すりゃ良いんだろ?」
ちょっと調子に乗りすぎたかな俺。
まぁ、2人とも『ふっ』と笑っているから良しとしよう。
俺は剣を抜いて構えた。
「…来いよ、ウジ虫ども!」
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