第1章 夢から覚めた現実

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(…ぎ。…っやぎ!おい、青柳!) 「赤だってば!」 夢の中で誰かに呼び掛けられガバっと立ち上がる。 「何が赤なんだ?」 『クスクスクスっ』 なぜか目の前には英語担当の教師。そして周りから笑い声が聞こえる。 「あ、、えと…。」 ようやく自分が置かれている状況が把握できた。どうやら英語の授業中に居眠りしていたらしい。 「おまえなぁ…まだ1時間目だぞ?来年は大学受験っていうのに…。」 まだ新任だと言っていたその先生は、20代前半。背は165cm(自己紹介の時に友達が聞き出した)と少し低めだが、顔立ちは美少年と言っていいだろう。性格もサバサバしているせいか、女子からの人気が非常に高い。 「きょ、恐縮です。」 頭を軽く下げる。 「次寝てたら資料整理手伝わせるからな。」 「はぁい。」 そして止まっていた授業は再開される。 ふと窓の外を見て頬杖をつく。 (懐かしい夢みたな…。彷徨が喜ぶ顔見たくて赤色にしたんだっけ。小さい頃はあーちゃん、あーちゃんって言ってついてきたのに…最近は冷たいしなぁ。) 今は中学校で頑張って勉強しているであろう弟の事を考えていた。
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