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再度謝ろうと彷徨の部屋の前に行く。
『コンコンッ』
「何?」
私よりも10cm以上背の高い彷徨がドアを開け見下ろしていた。相変わらず不機嫌そうだ。中学生のくせに髪は茶色。大人びて見えるせいか迫力もある。自分でいうのも何だが…学校ではモテるのだろう。
「あ、さっきは本当にごめん。次は気を付けるから。」
びくびくしながら彷徨の顔を見上げる。
「だからもういいって。」
もう、うんざりだと言わんばかりにドアを閉めようとした。
「待って!」
咄嗟にドアに手をかけ閉まるのを阻止した。
「彷徨…なんか最近私に冷たくない?私何かした?前みたいに仲良くしようよ…。」
去年までは「仲のよい姉弟」として近所では有名だった。毎朝、途中まで一緒に学校へ行ったりしていた。
「やだよ…。」
やはり年頃のせいだろうか。
少し寂しく感じた。
「そっか…。彷徨ももう中2だもんね。お姉ちゃんなんかうざいか…。」
諦めて自室に戻ろうとした。
「違う!うざくなんてない。」
「え…。」
振り向いたと同時に腕を引っ張られ彷徨の部屋の中に入れられた。
私は唖然としていた。
「姉貴は悪くないよ。」
ドアを閉め見たことのない真剣な面持ちでこちらをじっと見ていた。
「あ…そっか。そうなんだぁ。良かった。」
自分が嫌われているわけではないと知り安堵のため息をついた。
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