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第1章 夢から覚めた現実
「あーちゃん、置いてかないでよぉ。」
「ほら、彷徨(かなた)。手繋いであげるから。」
まだ言葉も覚束ない3つ年下の弟。もうすぐ小学校1年生になる私は父、母、そして弟の彷徨と共にランドセルや筆箱などを買いにきた。
ショーウィンドウには赤、黄、青…
様々な色のランドセルが並んでいた。弟と手を繋ぎながら「やっぱりピンクかなぁ、それとも黄色?」「ボクは赤がいいー。レッドマンの色ー。」などと言いながらはしゃいでいた。
「綾乃、どれがいいか決まった?」
にこにこしながら母が隣にしゃがみこむ。
「んとね、んと…赤!赤がいい。」
「ピンクとかもあるよ?赤でいいの?」
母が不思議そうな顔をしていた。
「うん、赤がいいの。」
「あーちゃんレッドマンだー!わーい。」
彷徨が嬉しそうに飛び回っている。
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