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まだ一緒に住み始めたとき、美琴は真哉以外を馬鹿にして、決して謝るなんてことはしなかった。
謝るどころか馬鹿にする毎日だった。
ところが、そんなある日、美琴は響平に部屋に呼び出されて以来、なぜか響平に逆らわなくなっていたのだ。
美琴もそのときのこと思い出したくないのか、誰にも話そうとはせず、知っているのは響平と美琴の二人だけだった。
「響平兄さん、冗談はそれくらいにして上げて」
美里が笑顔で、ご飯を口に運びながら言った。
止める気があるのかどうかも微妙なところだったが、これがいつもの六飼家だった。
「わかってるって、ガキいじめて楽しむ趣味はねえよ」
「うふふ、美琴泣きそう」
「うげっ!」
隣に座ってる泣きそうな美琴に肘うちを鳩尾に入れられて、声を上げたのはやはり茶化した美香だった。
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