一日の始まり

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そうは言ってるものの美琴の顔は大丈夫そうではなかった。 「遅れるとマズイのか?」 自分の席に着いて、納豆を作りながら響平が言った。 「いや普通にマズイだろ、特に美琴は仕事を任されてる体育員なんだから」 真哉は冷静にご飯を口に運びながら答えた。 どんなときでも冷静さを失わないのが、次男、真哉の売りだった。 「美琴、あと何分で学校に行けばいいんだ?」 納豆を作り終え、口に運びながら、響平が聞いた。 「長兄、心配するな。私が遅刻しても……」 美琴は必死に冷静さを装うとするが、隠しきれていなかった。 「いいから、言え。あと何分だ?」 美琴の言葉を遮るように響平が言う。 「……10分」
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