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『有栖川 麻紀…。良い夢を』
耳の奥に昨日の台詞が蘇える。
奇妙な笑みを浮かべる歪んだ口許が脳裏をよぎった
しかし、其処には良く知ったニコニコと愛想良く笑う好雪の笑顔があった
…何だか不思議だ。
「おーぅ、好雪。おはよッッ」
「うん、おはよう麻紀」
ヒラヒラと手を振ると好雪は隣の教室に入っていく
「ほら!!マッキー、よそ見してないで早く終わらせちゃおっ」
「…、そだね」
そしてオレもあーたんに引っ張られて掃除場所へと向かった
空に目をやると遠くに厚い雲が押し寄せているのが見えた
夕立…きそう
その時、何か言いようのない不安感に苛まれた。
たかが夕立にオレは何をビビっているんだろう…
…なんか何か嫌な予感がする
「もう!!マッキー!!!」
「あ…あぁ!ゴメン今いく!!」
あの時のオレは、
あの変ちくりんな夢の続きが待っているなんていう事をまだ知る由もなかった…
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