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和斗はゆっくり少女に近づいていった。
その金色のふわっとした髪は綺麗にまとめてあり、服装はどこかのお姫様を連想させた。……ドレスだろうか?
顔は透き通るように白く極め細やかだった。まるで陶器の人形のような美しい肌。
そして彼女は目を覚ました。青い瞳が、日本人とは違うということを示していた。
「………あら? 私は……」
少女は辺りを見回す。
いままで寝ていたのか、状況を理解していないようだ。
「……大丈夫かい? 怪我は? お腹空いてない?」
和斗はひとまず話しかけることから始めた。少なくとも彼女からはクィリェーダのような禍々しい感情を感じられなかったからだ。
「……貴方は?」
少女は質問を無視し、自然な微笑みを返してきた。
和斗は少し顔が赤くなりながらも気を取り直し、こう言った。
「……俺は浅羽和斗。光の軍勢のリーダーで……って、君にそんなこと言っても分からないか」
和斗は自己紹介の失敗に苦笑いする。すると彼女もつられてか、ごく自然的な笑顔で微笑む。
「えっと……君の名前は?」
「私の名前はリーネ。リーネ・エルトバインです。エルトバイン公国の第三位皇女ですわ」
そう言うとリーネはまた微笑んむ。エルトバインという聞いたことのない国の皇女と名乗るこの少女、そしてこの純白の機体……。果たして何なのだろうか?
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