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「なんで朝からお前はそんなに元気なんだ?」
登校してきたばかりなのにやたらテンションの高い啓介に、刺のある口調で返事をしてしまう。たがそんな事は気にも止めず、啓介はしゃべり続ける。
「毎日元気が一番! それにしても……ん?」
激しく笑顔の啓介が、横を向く。雑談をしているの女の子に気付いてしまった。
すると啓介は、わざとらしく深いため息をついた。
「ハァー……そうか、お前モテないからって、アイドルに憧れていたりしてるんだな」
僕の容姿は冴えない。
鳥の巣みたいなボサボサの頭。骨董品みたいな黒縁眼鏡。
身長はひょろりと高く、大して筋肉もついてない。
いいところ――というか、特徴がほとんどないのだ。
もっとも、それは僕自身が容姿に頓着しないというのもあるんだけど。
こいつは毎日そんな馬鹿なことを言って、僕をからかってくる。まったく。
「違う! というか、お前だってモテないだろ」
「うるさい!」
だが大抵は、僕が言いかえすとすぐにむきになる。
からかってくるけど、悪意がないのだ。
まあ、だからこんな軽口が叩けるのだけど。
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