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「おやおや、お客さんとは珍しい」
その口調からして物腰の柔らかそうなおじいさんは、ゆったりと杖をつき暖かな笑顔をこちらに向けながら近付いて来た。
「あっすいません。勝手に入っちゃって」
いきなりの人の登場に楓ちゃんが焦ってお辞儀する。
「いやいや、一応ちゃんとしたお店だから、そんなのは全然構わないんだよ」
おじいさんは驚いたように手でそれを制する。
「それよりどうだい?商品の方は?」
白く長い髭を撫でながら、興味深く僕を眺めるおじいさんの質問に、僕はニッコリ笑う。
「とってもいいです。凄く気に入りました」
僕がそう答えると、おじいさんの表情がパァーと明るくなった。
「そうかそうか。それはよかった」
「はい。でもどうしてこんなに人通りの少ない所に?」
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