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「楓ちゃん、これ僕が買って上げるよ」
「へぇ?」
素っ頓狂な声を上げる楓ちゃん。
「いや、だから……これ僕が買って上げるよ」
分かりやすいように、僕はハッキリとした口調で話す。
すると楓ちゃんは、
「いやいや!!いいです、いいです。そんなの買って貰う訳にはいけません」
やたらと焦って両手をブンブン振って否定する。
「いいのいいの。元々何かお礼はしないといけないと思ってたし」
「でも……」
「いいって」
笑顔でそう言うと、楓ちゃんは一瞬考えたが、
「やっぱり……」
と言って否定する。
だが、せっかく僕も買うと決めたんだ。すぐには引き下がらない。
結局、この後の5分間ぐらいは、ずっと「でも」と「いい」の押し問答になった。
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