一部最終章 年の終わり

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年の終わり……それは個人差があるものの、誰しも感慨に老ける物があるんじゃないだろうか? 他は知らないが、少なくとも僕はそうだ。 今日は12月31日。小百合のクリスマスプレゼントを買ってから、9日が経過した。 さて、あれから後の事を話すなら、僕は何とか家に帰れた。 だが本当に『何とか』だ。 千秋に電話して車を呼んで貰おうとしたのだが、何を考えたか、千秋はそれじゃ面白くない。と僕を助ける事を却下した。 それじゃあ困る僕は「ならどうするんだよ!」と尋ねると、千秋は受話器越しでクスクスと笑いながらこう言った。 「簡単だよ。帽子とサングラスを外して、そこら辺の女の子に電車賃貸して下さいって言えばいいんだよ」 ………まぁ後は予想出来るかも知れないが、もはや背水の陣だった僕は、この作戦を決行した。
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