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影で見ていたシュウとコウタは何が起ったのかわからないまま、ただ「強えぇ…」と一言。
少年は最後の一人の腕を押さえながら
「帰ってもいいでしょうか」
と息も切らさず言った。
男は関節をきめられ、うつぶせに寝かされながら痛みのあまり無言で何度もうなずいた。
少年は手を離し相手を痛みから解放すると自分の荷物をまとめ表通りに足を向けた。
路地裏を出ると、のぞいていたシュウ達と目が合った。
「お金ならありませんよ」
少年は素っ気なく言うと再び歩き出す。
と、シュウは何を思ったか少年を呼び止めた。
「お前、強いな。あの技…武道か何かか?」
「えぇ、『合気道』ですよ。ここから少し行った所に道場があるので興味がおありなら…どうぞ」
少年は歩きながらそう言うと街の中に消えていった。
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