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その日。
太郎は岬の岩場で釣り糸を垂らし、
「何ぞ珍しいモンでも取れんかね」
ぼんやりとしていました。
女手一つで太郎を育てた母は老い、
嫁の一つも貰おうにも、
その日暮らしの頼りない釣り竿。
なんとかならぬものか…
そんな迷いは波音に弄ばれ、
半日たっても小魚一つ釣れませんでした。
釣り竿の先が震えたのは、
太陽がすっかり登りきった時間。
急にビクビクと動き出すものですから、
太郎も驚ききり、必死で釣り上げます。
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