◇浦島太郎

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その日。 太郎は岬の岩場で釣り糸を垂らし、   「何ぞ珍しいモンでも取れんかね」   ぼんやりとしていました。 女手一つで太郎を育てた母は老い、 嫁の一つも貰おうにも、 その日暮らしの頼りない釣り竿。 なんとかならぬものか… そんな迷いは波音に弄ばれ、 半日たっても小魚一つ釣れませんでした。   釣り竿の先が震えたのは、 太陽がすっかり登りきった時間。 急にビクビクと動き出すものですから、 太郎も驚ききり、必死で釣り上げます。
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