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異常な状況の中で、自らの狂気が解放されたのか、さきほどまで動いていたそれは、もはや肉塊と言うよりは緑色のスライムだった。
息が切れ、腕が痛い。バットを振りすぎたせいもあるが、叩いた衝撃がよほど強かったのだろう。
緑のスライムは、異臭を放っている。
懐中電灯に引き寄せられたのか・・・
・・・。
ライトを消そうかとも思ったが、暗闇の中でこんなやつらに気づかず囲まれたらと思ったら勇気は出なかった。
鉄の扉は二つあったが、向かって右は鎖と鍵で開けれない。
仕方がないので左側のに入ることにした。
・・・ごごごご
重い引き戸を開けると、そこには部屋があった。
赤い部屋だった。
いや、赤黒い部屋だ。
血にまみれている。
本来の塗装もわからない。
しかもたったいま飛び散った(塗りたくられた、か?)かのような新しさだった。
この血はまったく酸化していないのか。
・・・化け物よりはましか
部屋には家具らしいものはなかった。
ぼろぼろの子犬のぬいぐるみが部屋の真ん中に置いてあるだけだ。
大人より、子供が喜びそうなぬいぐるみだ。
不思議なことに血はまったくついていない。
拾い上げようとしたら
頭がとれた。
・・・。
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