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━━帰り道。
傾いた真っ赤な太陽がアスファルトを山吹色に染め上げる。
「そーいや、最近全力疾走してねぇな…。」
部活をしている美甘に比べて俺と林檎は、思いっきり走るってこと自体が全くと言っていいほどない。
最後に走ったのは、何時だったろうか…。
昔は、この真っ赤なアスファルトを俺と林檎と美甘で駆け抜けていた。
何で走らなくなったんだろう?
疲れるから?
汗をかくのが嫌だから?
一生懸命が格好悪いから?
もっと別の理由?
「久し振りに走るか!?」
屈託なく笑う林檎。
変わらないようで変わったいつものヘラヘラした笑いでなく、キラキラとした笑みだった。
「いいねぇ。負けたら…」
「来夢ちゃんを1日俺に貸せ。」
「ぜってー負けねーよ。」
俺達は、アスファルトを踏みしめて、噛み締めて走った。
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