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━━ごめんね、レンちゃん。母さん、運動会行けなくなっちゃった。
━━やだ!!何で見にきてくれないの??
━━どうしても行かなきゃ行けない用事があるの。
━━どうして!?僕が走るの遅いから??一等賞とれないから!?
━━違うわ…違うの。
悪いのは、母さんなの。
━━僕、がんばるよ!がんばって一等賞になるよ!!
母さんは、黙って俺を抱きしめた。
━━ごめんね…レンちゃん。
母さんに抱きしめられると何も言えなくなる。
本当は、母さんをもっと罵(ノノシ)りたかった。
だがそれは、大好きな母さんを傷つけてしまうことになるので口に出来なかった。
━━わかった…我慢する。
誰も僕を応援してくれない…。
そう思うと運動会が嫌いになった。
運動会なんてなくなればいい。
そんな寂しい思いが俺を運動嫌いにさせていった。
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ドスッ
「ぐむぅ!!」
低い音と鈍い痛みで夢から現実に引き落とされた。
俺の腹の上では、まるまると太った白豚……では、なくて色白の目つきが悪いガキが乗っかっていた。
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