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「あー!いたー!!」
ふと聞こえてきた少し音程の外れた高い声。
背中にのしかかる心地よい重み。
「おはよー、お兄ちゃん♪」
「おっはよう。」
耳元でクスクス笑うのが少しこそばゆい。
「檸檬君、場所取りご苦労様。」
杏子さんが大きなバスケットを持ってきていた。
青いキャップを被り、ピンクのTシャツ、ハーフのジーンズに白のスニーカー。
今日の杏子さんは、やけにボーイッシュだな。
だが、そのギャップが杏子さんの優しい色気を活発的な色気に変えていて更に魅力的だった。
「杏子さん!こっちこっち!どうぞどうぞ!!」
そんな杏子さんの色気に惑わされて、まるで樹液に誘われた蝉のようにフラフラと近づいていくリュウさん。
鼻の下がこれでもかと言わんばかりに延びている。
「何オラウータンみたいな顔してんねん。」
「あ…。お前おったん…?」
杏子さんの後ろにいた、リュウさんの奥さんのシーさんが鬼の形相で立っていた。
「パパ、最低…。」
娘に言われて一番きつい言葉であろう一言を投げかけられて、ショックで端っこで膝を抱えていた。
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