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来夢は、ゴールを走り抜けた後、スピードを落とさずに真っ直ぐ観客席に来た。
「ねぇ!?一番だよ!?すごい?!しゅごい!?」
お~い。
興奮し過ぎで呂律(ロレツ)回ってねぇぞ?
「あぁ、凄い凄い。可愛いし、足早いし、世界一だな。お前は。」
俺は、一通り誉めてやると来夢の頭を撫でてやった。
「にへへへ…。」
「来夢ちゃ~ん!!」
なんかもう我慢の限界みたいな感じの杏子さんが少し息を切らした来夢を思いっきり抱きしめた。
「凄いよ!偉いよ!頑張ったね!!」
「む…ぐ…。うん、ありがとう~。」
来夢は、嬉しそうに杏子さんの胸に顔を埋めている。
…羨ますぃ…。
後で来夢と間接ハグしよう。
「父ちゃん…。」
不意に声のした方を振り向くと俯いて今にも泣き出しそうな文太の姿があった。
「父ちゃん…俺…。」
「なぁ~に悄(ショ)げてんだ?二着だぞ!凄いじゃないか!!」
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