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「父ちゃんなんかビリ以外取ったこと無かったぞ!?」
わっしわっしと頭を撫でる辛谷さん。女の子にするには、少し気が引けるが男の子には、逆に喜ぶかもしれない。
「ほら、列に並びに行きなさい。」
「うん。」
文太が振り返るとそこには、来夢が立っていた。
「文太君…。」
「う…。」
来夢が名前を呼んだだけなのに怯んでしまった。
無理もない。自分が一方的に勝負を仕掛けてぼろ負けしたのだから…。
こんな小さな子でも男のプライドは、心に刻まれている。
「早く、行こ!」
そう言って来夢は、白い手を笑顔で差し出した。
太陽の光に照らされた来夢のその姿は、天使のように見える。
「…うん。」
そんな姿を見て来夢の優しさを受けた文太は、色白の顔を真っ赤に染めた。
そのまま来夢に手を引かれて、クラスの列に並んでいった。
「あの子…来夢ちゃんに惚れたね。」
「あぁ、絶対にな…。」
「てゆーか、来夢ちゃんって小悪魔?」
「悪魔じゃねぇ!天使だよ!!」
「何言ってんだよ…?」
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