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「あぁ~!もう!!桜桃は、まだ出えへんのか!?」
リュウさんは、保護者席とグランドを仕切るロープを掴んで揺さぶっている。
「止めえな!子供か!?あんたは!サクなら次や!!」
リュウさんは、揺さぶっていた手をピタリと止めて、妻であるシーさんを見据えた。
「何で早く言わへんねん!?小便行く暇ないやんか!」
「何であたしがあんたの小便の事情まで把握しとかなあかんねん!」
「ほら、喧嘩しないで。サクちゃん、もう直ぐ走りますよ。」
杏子さんが指を指す方を見てみるとサクちゃんは、既にスタートラインに立っている。
シーさんとリュウさんは、喧嘩を放り出してサクちゃんの方を食い入るように見る。
「サク…きばれや。」
バァン!!
リュウさんが誰にも聞こえないように呟いたのと同時に乾いた火薬に火がつく音が辺りに響いた。
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