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トウラ
「あ!姉ちゃんおかえり。」
テントの外の物音に気付いたのか。トウラが顔を出すと、そこには焚き火に火をつけるシーナ姿があった。
トウラの声に気付き、シーナはテントの方に目線を向け『…ただいま。寝てた?』と、返事を返した。
それに対し、トウラは首を横に振り。ノソノソとテントから身を出した。
トウラ
「随分怖い顔してるけど、なんかあったん?」
シーナ
「…近くに羽付き(マゼラドップ)の通った跡があった。」
その言葉を聞くや、トウラの表情は不安な色に変わった。
それを察したシーナは、トウラを焚き火の近くに手間ねき。そのまま自分の膝上に座らせた。
シーナ
「…帰るかい?」
シーナにそう聞かれると、トウラは膝の上でピクリと身体を少し反応させると、しばらく間を空けた後『…シーナ姉ちゃんと一緒に行く。』と、小さな声で返事した。
シーナ
「そうか。」
シーナはそれだけ言うと、その後は何も言わずにただ黙ってトウラの頭を優しく撫でた。
シーナの指をなめらかにすり抜ける緑色の髪を眺めながら。シーナはこれからどうするかを考えていた。
このまま行くべきか、戻るべきかを………。
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