2人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
それはまるで絶望
あの日私は
彼女を救えたと思っていた。
しかしそれは
孤独な私の戯言だった。
無力な私に
こんなにも重たく冷たい「愁」をくれたのは
背後からずっと私を見ている
“神”だった。
神は私に「愁」をくれた。
その代償に
神は私の「憂鬱」を持っていった。
コレは神から私に対する思し召しだった。
──あの日救えなかった彼女を
神になった今なら救うことなど容易いでしょう?──
神は一言言い残し
そして
私の憂鬱を吸い取った神は滅びて
神の「愁」を帯びた私が神になった。
今なら────
あの日の彼女を救うことが出来る──と───
しかし、
あの日の彼女はもう
あの日の神によって救われていた。
神が私に与えたもの
それは
「愁」ではなく
「絶」だったのかもしれない。
神は
誰からも
救われる事無く
ただ
ひたすらに
孤独に
埋もれるしか
無いのだろうか
最初のコメントを投稿しよう!