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メールの送信ボタンを押したら、また机に突っ伏した。
太陽は頂上にたどり着いて幾時か経っている。
そういえば今日はバイトだった、って現実的なことを考える。
思考の大部分は現実的でない人のことを考えていたけれど。
忘れられない。
あの腕の温もりとか。
唇を触られた時の高鳴りとか。
手を取ったときの体の熱さとか。
彼の、笑顔とか。
真剣だった、表情とか。
ふいに考えると、以前にも彼は私の夢に登場していた。しかもその時私はただの召し使いだったし、彼の連れでも無かった。
…あれから、先の話だろうか。
でも、あの時も目指す場所は首都だった。
…首都ってどこの?普通に考えたら、それは東京のことだけど…
『…普通じゃない…』
そう、普通じゃない。
夢について真剣に考えるなんて。
普通じゃない。
直に触れたわけでもないのに。
触られた感触が残ってるなんて。
普通じゃない。
目覚めてしまうのが惜しいなんて。
また夢で逢いたいと願うなんて。
普通じゃない。
「~~~~~~っ」
次第に、夢に囚われてゆく。
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