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醒めない頭でぼんやりと前を向いた。
人々が群れをつくって扉から出ていく。
少し小高い場所にいた人が持ち物をかき集めている。
「起きた?もう授業終わったよ?」
友達の言葉に愕然とした。
自分は僅か一時間に満たない時間でああも長い夢を見ていたのか。
…実際長い夢かと問われると甚だ疑問だったけれど。
「あ、うん…」
それでも、短い睡眠に旅人は現れなかった。
可笑しい話だけれど落胆はした。大いにした。
なので、次の授業で勉強はもちろん、寝ることもしなかった。
ほんやりと、旅人が助けに来るシナリオを考えていた。
(…末期だなぁ…)
精神病院でも行こうかな。夢に囚われて現実がおざなりになっている気がする。
第一あの夢にそんな危機的状況はないし、だからといって旅人はピンチを救うヒーローでもないし、そもそも旅人と自分の関係もわからないし、
末期だと思いながら思考は結局夢のことになる。
帰路の間もうとうとと夢を垣間見た。
それはたわいもない友人の話だったり、
知己でもない人々との宴会騒ぎだったり、
宝くじが中途半端に当たって喜んだり、
でも、短い睡眠に濃い夢ばかり。
夢うつつのほんやりとした頭で家に入り、夢の続きをと言わんばかりにベッドに身を預けた。
飛 ばな くちゃ
じ ゃ ない と、
私 は 、
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