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私の身体は、ふわりと浮かび神々しい光を放つ球体に包まれる。
――★☆回復中だよ。もう少し待っていてね☆★――。
球体には、デジタル調の文字でそう記されていた。
徐々に身体は、暖かいもので満たされ回復していくのを感じるが、深く抉られた心の傷までは癒す効果は得られなかった。
ヅゥーラ神に殺意すら芽生える。
どさっ――
「痛っ!!いたたたた……こ、腰がっ!!!」
回復魔法の効果が切れ、私の身体は球体の外に飛び出し、したたかに地面へと打ち付けられる。
「だ、大丈夫ですか!!修三郎殿?はっ……髪がっっ!!?」
駆け寄ってきた源さんは、わなわなと震えながら私の頭部を指さしていた。
とてつもなく嫌な予感がし、恐る恐る自分の頭部へと腕を伸ばす。
つるっ……。
とボーリング玉を触っているかのような感触。
そこにあるはずの絶対的なものが、欠けていた。
「わ、私の……私の髪がああぁぁああ!!!」
何度も何度も触って確認する。
しかし、私の髪はもう二度と……一本たりとも戻ってくることはなかった。
3・古のハンデリリェロの騎士 完
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