寒がりな君

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僕の足元で 落ち葉が舞い 秋に暮れる町を すり抜けて行く もうすぐ冬が来る… 少しずつ… 冷たくなる風に 僕は身を縮める 吹き付ける風が 僕の頬を撫でる 君の手のひらを思い出す 君の手は冷たく 君は僕の頬を撫で… 「あなたは温かいね」 そう言って笑った …寒がりな君 この季節になると 僕の頬に手を当てて いつもそう言っていた 自分の手を頬に当てる …冷たい… 秋風が強くなる 君の笑顔をまた …思い出す …思いだしてしまう 思い出の中の君は いつも笑っていて その隣にいた僕も 君を見て笑っていた あの時の僕の頬は いつも暖かかった… だけど今、僕の頬は 思い出と違い 冷たくなった 季節が移りまた 冷たい秋風が吹く頃も 僕の頬は 冷たいままだろう… 僕の隣にはもう… 寒がりな君は もう…いないから…
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