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その夜。
仕事を終えた私は、とある本屋へと向かった。
理由は、買っている文庫の最新シリーズが、そろそろ出ているだろうと思ったから。
自動ドアを抜け、文庫のコーナーへと向かう。
目的の本は、すんなりと見つかった。
それを腕に抱え、他に面白そうなものはないかと、棚の間を歩いている時。
突然、
(助けて)
声がした。
いや、声ではない。
それは、耳から入ってくるものではなかった。
頭の中に直接響いてくる。
それはやがて、幾重にも重なり、容赦なく頭の中をかきまわす。
(助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて)
必死で頭を抱えるが、それは何の意味もなかった。
何とか会計を済ませ、店の外に出ると、声は止んでいた。
(何だったんだろう…)
そのまま家に帰り、その日は終わった。
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