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3年前の今日、妻はこの世を去った。
最愛の妻、子宮ガンだった。
最後の言葉は、
「子供、ほしかったね。ごめんね?あなた」
泣き言は一言も言わなかった。日記にも、治ったらしたい事、子供の名前など、前向きな妻らしい事ばかりだった。
最後の1ページだけ空白。新品の日記帳。
妻と暮らしたマンション。
僕はいまだにここに居る。
想い出の詰まったへや。
いつか君がひょっこり帰ってくる、淡い期待。
それも今日で終りにしよう。
忘れられない。だから想い出にする。咲かない蕾を育てよう。
知り合ったきっかけは共通の友人の紹介。
初めての会話はメール。
だからメールで別れを告げよう。
―・―・―
宛先:
件名:Re:
本文
ありがとう。また、どこかで。
―・―・―
さよならで別れたことはなかった。だから
またね
って送った。
妻の携帯はとっくの昔に解約してある。すぐにエラーの返事がくるはずだった。
でも携帯は鳴らなかった。
3分たっても3時間たっても3日たっても。
もちろん妻からの返事はない。
でも届いてると思いたい。
天国へ、届いて。
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