76人が本棚に入れています
本棚に追加
逆に相田幸子は他の女子に比べれば多少整った顔立ちをしているがとりわけ美人という訳でもない。
性格にしても至っておとなしく普通ならば翔子みたいな目立つタイプの人間と一緒にはいるはずのない側の子だ。
そんな対極にいるような二人が小学校時代からの親友として、朝も昼も下手すると夜もずっと一緒にいるのだ。
そんな中から幸子一人を呼び出すなんてことを良隆はできないでいた。
「はぁ、翔子の奴がいなけりゃすぐにでも告白するのになぁ」
そんなできもしないことを一人ごちて良隆は自転車を自分の指定の位置に停める。
教室に着くとまだホームルーム前なこともあり、クラスメート達がざわざわと騒いでいる。
良隆は自分の席に着く前に何人かのクラスメートに声をかけられ、それに生返事を返しながら通り過ぎる。
机の上に鞄をドサッと置いて椅子に腰掛けると机の上(正確には鞄の上)に突っ伏した。
「おっす、良隆」
「うぃ~」
良隆が席に着いたのを確認してからか前の席の生徒が振り返って挨拶してくる。それに良隆は突っ伏したまま返事をする。
最初のコメントを投稿しよう!