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生徒達からは『地獄坂』と呼ばれているその坂は毎年必ず数人の生徒が倒れ、坂の上に待機している教師達に担がれて保健室に連れていかれるのだ。
良隆は毎日その地獄坂を鍛錬だとばかりに頂上まで自転車から降りずに登っていく。
本日も息を切らしながら懸命に坂を登る。
「ぜぇ……あ、あと……ちょっ……っと……」
良隆は必死の思いで地獄坂を登りきると自転車から崩れ落ちるように降りる。
肩で息をしながら自転車を引いて校門に向かう。
「あら、良隆じゃない」
「あ?」
声をかけられ良隆は振り返る。
「なんだ、翔子に相田か……、おはよう」
「おはよう」
「お、おはよう、木田くん」
声の主は小学校からの腐れ縁で良隆の同級生である坂下翔子と相田幸子だった。
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