76人が本棚に入れています
本棚に追加
翔子は自分の鞄を良隆の自転車の籠に入れるとスタスタと歩いていく。
その後ろを困ったように幸子がついていく。
「っっおいっ! 翔子! お前、何、人のチャリに勝手に鞄乗っけてんだよ!」
「あら、か弱い女の子に重たい鞄持たせたまま歩かせるつもり? ひどい男ね、良隆って。そう思わない、幸子」
ふんぞり返った態度でそう言うと翔子は幸子に同意を求める。
「えっ、あ、う、うん……」
困ったように幸子は下を向く。
「お前のどこがか弱いんだよ! お前なんかトラックに轢かれたってトラックが逆に破壊されっわ!」
「失礼ね! 幸子、こんな馬鹿ほかって行きましょ」
「ま、待って、翔子ちゃん!」
翔子は一人でズンズンと歩いていく。その後を幸子が小走りでついていこうてしてふと良隆の方を振り返る。
「木田君、ごめんね。翔子ちゃん悪気があるわけじゃないと思うの……」
「別にいつものことさ、相田が気にすることねーよ」
良隆にそう言われ、幸子はホッとしたように笑うと翔子の後を追いかける。
最初のコメントを投稿しよう!