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美和にしたって自分がこんな状態でなければ、こんな同好会には入らなかっただろうと思う。
しかし、美和にはどうしても確かめたいことがあった。
それは自分自身を知るためにも必要不可欠なことで、逃れる事の出来ないことだった。
だからこの同好会に足を踏み入れたのだ。
どうやら部長の洗礼から開放された東野は他の先輩方に捕まっていた。
美和は心の中で珍しい、と呟いた。
あの部長の熱弁後にもこの教室に留まっているなんて。
どうやら彼は本気でこの同好会に入る気らしい。
ようやく先輩方に開放された東野が美和の元に空ろな目をして近付いてきたのはそれから十五分後の事だった。
どうやら東野に部長たちの洗礼は刺激が強かったらしく、
「これからよろしく……」
という言葉にも覇気はなく、そのまま倒れてしまうのではないかと思うぐらい疲労困憊した様子だった。
ここまでしてどうしてこの同好会に入ろうとしているんだろうと思ったものの、美和はそれ以上目の前の人物について詮索するのはやめにした。
そんな事は嫌でもすぐに分かってしまうのだ……。
東野と見つめ合うこと十数秒。
しかし、いくら彼に注目しても、何も起こらなかった。
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