研究報告書

1/8
前へ
/542ページ
次へ

研究報告書

 神は存在する。決して偶像のことを言っているのではない。神は存在するのだ。  このようなことを最初に述べるのは、我が研究において神の力が不可欠であるからである。私は神と対面した。その神は、創造神ブラフマーと名乗った。神については様々な文献や歴史書で読んだことがあったが、そのいずれにも記載されていない世界の歴史をブラフマーは語った(ただ一つ、その歴史と寸分狂わぬことを書いている物を後に発見するが、後述とする)。そして私は、神の力を得た。ブラフマーはさらに語った。神の力を一度持てば、神ですらその力を取り上げることはできないと。それほど人間と神の力は繋げておかねばならないということなのか。  神の力を得た私はその力を使い、富を得、天文学者としての現在に至る。なぜ天文学なのか。それは前人未到の地『宇宙(セルム)』に強い関心を抱いていたからだ。セルムには多大な可能性が秘められている。私はそこに『新世界』の可能性すら見出したのだ。そう、即ち『セルム=新世界』なのである。  私は同志を集めた。私と同じようにこの世界を嫌い、憎み、破壊しようと思う者を。どんな人間にもそうした感情は内在する。感情を表に出したところで世界がどうなる訳でもないと自然に理解しているだけなのだ。無論、その通りである。  しかし、私にはそれが可能なのだ。神の力という、まさに人知を超えた力を私は持っている。その力を目の当たりにした者は皆、不可能の理解を捨て、感情の爆発を引き起こした。  そうして私は、多くの同志と共にセルムの研究を開始した。
/542ページ

最初のコメントを投稿しよう!

405人が本棚に入れています
本棚に追加